任意売却物件とは
1.任意売却物件とは
任意売却物件とは、住宅ローンや税金などの支払いが困難になった所有者が、債務を返済する目的で売る物件のことを指します。
住宅ローン等の債務者と、債権者(金融機関等)、物件買受人の三者がその物件の売買について合意をし、債権者は売却代金を受け取って債権者に債務を返済し、債権者はその物件の抵当権抹消手続きを行い、買受人は抵当権が抹消された物件を取得します。
(注:日経トレンディネットより)
2.競売との比較
任意売却と競売を比較すると、物件価格面では、競売物件の方が安く購入できる可能性があります。ただし、昨今の競売入札者の増加により、特に人気が集中した物件などは、市場流通価格と同じかそれ以上の高値で落札されるケースも結構あります。
競売は裁判所が3点セット(①物件明細書、②現況調査報告書、③不動産評価書)と呼ばれる資料を用意してもらえますが、通常の不動産取引で提出される重要事項説明書ほど詳しくはなく、情報が古くなっている可能性もあります。また基本的に内覧ができないため、物件資料の室内については写真等で判断しなくてはならない点が、通常の不動産取引と同様となる任意売却に比べて大きなデメリットになります。
また競売は、代金を納めて所有権を移転しても、裁判所は引き渡しまでを保証してくれるわけではないので、元所有者の住人に居座られたり、第三者のタチの悪い占有者がいたりしても自分で明け渡すよう交渉しなくてはならないし、さらに処分が大変な残留物が存在するかもしれません。売り主と買い主の合意により売買される任意売却ではこうした問題は起きにくいのに比べて、競売ではこの点で大きなリスクを抱えることになります。
その他では、原則2割の保証金が必要になる、住宅ローンを扱っている金融機関が少ない、購入に時間的余裕がないといった点も競売のデメリットです。
一方、法律により債権者や売り主の権利は強制的に抹消される競売に比べて、任意売却は所有者だけでなく、債権者とも合意が必要なため、合意形成に手間がかかったり、条件面で折り合えず、売買が中止されることもあるというマイナス面があります。